「英語の歌や動画は流しているけれど、これで本当に力がついているのかな」「リスニングって、ただ聞かせ続ければいいの——?」そんなふうに、お悩みのお父さん・お母さんは多いのではないでしょうか。
早いうちから英語に触れさせたい。
その気持ちはあっても、何を・どれくらい・どう聞かせれば成果につながるのかが分からないまま、なんとなく音を流している。そんな家庭は、けっして少なくありません。せっかくの時間ですから、できれば「身につく形」で続けたいもの。
この記事では、小学生の英語リスニングについて、学年別のおすすめ素材と、家庭でできる「正しい聞き方」をまとめてご紹介します。歌・アニメ・YouTube・ポッドキャスト・アプリ・無料教材まで、お子さんに合う入り口がきっと見つかるはず。さらに、その積み重ねが英検5級・4級のリスニング、そして本命の英検3級にどうつながるのかも、実際の出題形式に沿って解説していきましょう。
まず結論:リスニングは「正しく・楽しく・続ける」が鍵
小学生のリスニングで大事なのは、ただ長時間「聞き流す」ことではありません。
「分かる音を・正しい聞き方で・楽しく続ける」——この3つがそろって、はじめて聞く力は伸びていくもの。
そして、最適な素材は学年で変わります。低学年は歌や手遊びで音に親しみ、中学年は学校英語と連動した動画、高学年は少しまとまった英語の話へ。こんなふうに段階を追って広げていくのが自然な流れなんです。家庭での素材選びと聞き方しだいで、英検5級リスニングに必要な耳の素地は、無理なく育っていきます。
ゴールの目安は、小学6年までに英検3級。5級・4級はその通過点で、リスニングはその全部を貫く「最初の得意分野」になってくれます。まずは1日5分から、肩の力を抜いて始めてみてください。
なぜ小学生にリスニングが大切なのか|いまの小学校英語
「うちの子の英語、このままで大丈夫?」と気になっている方に向けて、まずは今の小学生がどんな環境に置かれているのかを整理してみましょう。
小学校では、3・4年生の「外国語活動」が聞く・話すを中心とした体験型、5・6年生の「外国語(英語)」は教科として成績評価の対象になります。3・4年生のうちは英語を「聞いて・口に出して楽しむ」ことが中心。ところが5年生からは読む・書くも加わり、テストの点数もつくようになる。つまり、高学年になると「聞ける」が学校でも問われる時代なんです。早いうちから英語の音に慣れているかどうかが、ここでじわりと差になって表れはじめます。教科書の音声を聞いて答える活動や、先生の英語の指示を聞き取る場面も増えていく。「聞ける子」にとっては、それがそのまま得点や手応えにつながっていくわけです。
リスニングがそれほど大切なのは、それが発音と理解の両方の土台になるから。耳が英語の音をとらえられるようになると、自分の発音もそれに近づき、知らない単語に出会っても音から意味を推測しやすくなります。
逆に、文字だけで英語を覚えた子は、いざ音声を聞いたときに「文字と音がつながらない」とつまずきがち。「単語は読めるのに、聞くと分からない」という悩みの多くは、ここに原因があるんです。だからこそ、家庭での音のインプットがじわじわ力になってくるわけなんです。とくに小学生は、耳がやわらかい時期。今のうちに英語特有の音やリズムに触れておくと、後から文字を学んだときに「あ、この音か」とすっと結びつきます。逆に、この感覚をあとから取り戻そうとすると、意外なほど時間がかかるもの。だからこそ、英語の音のシャワーをいま浴びておく価値があるんです。
この点は英検でもはっきりしています。英検5級・4級・3級のリスニングは、いずれも筆記と並ぶ大きな得点の柱。聞く力が育っている子は、最初の受験から手応えをつかみやすく、「英語って分かる」という自信を持ちやすくなります。リスニングは、いちばん早く「得意」に変わる技能。だからこそ、最初の入り口として強い。
リスニングを含めた家庭学習全体の進め方は、小学生の英語 家庭学習のやり方でも詳しくまとめています。「リスニングだけでなく、家庭学習を全体としてどう組み立てるか」を知りたい方は、あわせて読んでみてください。
なお、2027年1月頃には英検に6級・7級が新設される予定で、7級が小学3〜4年生、6級が高学年向けと案内されています。早い学年から英語の音に親しんでおけば、こうした新しい級にもスムーズに入っていけるでしょう。
「聞き流しだけ」で英語は身につくのか

ここが、多くの保護者がいちばん知りたいところでしょう。「BGMのように英語を流しておけば、自然に耳が育つ」という話、よく耳にする話です。
結論から言うと、同じ聞き流しでも、力になる流し方と、ただ流して終わる流し方があります。
聞き流しは全否定でも、万能でもない。やり方しだい、というのが本当のところなんです。
よく引き合いに出されるのが「赤ちゃんは聞いているだけで言葉を覚える」という現象。けれど、これは乳幼児期の特別な力で、小学生にそのまま当てはまるわけではありません。小学生になると、意味の分からない音は、流していても素通りしてしまいがち。何時間流しても、頭の中で「音」と「意味」が結びつかなければ、記憶にも理解にも残りにくいもの。「ずっと英語のアニメを見せているのに、ちっとも話せるようにならない」と感じたことがあるなら、まさにこれが理由かもしれません。
えいごの実のレッスンでは、リスニングのときに「音」と「文字・意味」をセットにすることを大切にしています。たとえば歌を聞かせるなら、ただ流すのではなく、歌詞カードを見せたり、出てくる単語を絵と一緒に確認したり。お子さんが「今、何の話か分かる」状態をつくってあげる。それだけで、聞き流しはただのBGMから「身につくリスニング」へと変わります。
もうひとつ大切なのが、素材のレベル選び。半分も分からない音をずっと流すより、8割くらいは分かる音を選んだほうが、吸収はぐっと良くなります。「ちょっと簡単すぎるかな?」というくらいが、じつはちょうどいい。背伸びした難しい教材より、お子さんがほっとできる素材から始めるのが、続けるコツなんです。
たとえば、同じ10分でも中身はまるで違います。意味の分からない海外ドラマを10分流すのと、内容を知っている絵本の朗読を10分聞くのとでは、後者のほうがずっと耳に残る。前者はただのBGM、後者は立派な学習。同じ「英語を聞いた10分」でも、残るものがこれだけ変わってくる。
整理すると、こんな違いになります。
- 力になる聞き流し:意味が分かる(分かりかけている)素材を、文字や絵とセットにして、短く繰り返す
- ただ流すだけの聞き流し:意味の分からない難しい音を、ただのBGMとして長時間流し続ける
つまり、聞き流しそのものが悪いわけではありません。「分かる素材を・意味とセットで」という条件さえ満たせば、家庭学習の心強い味方になってくれます。逆に、難しすぎる音を延々と流すのは、時間のわりに見返りが少ない。大事なのは「量」より「分かる音を選ぶこと」だと覚えておいてください。次の章では、その「分かる素材」を学年別に、具体的に見ていきましょう。
学年・レベル別 おすすめリスニング素材
教室で多くの小学生を見てきて、はっきり感じることがあります。それは、学年によって、ぐんと伸びる素材がまるで違うということ。低学年に大人向けの英語ニュースを流しても響きませんし、高学年に手遊び歌だけでは物足りない。発達段階と興味に合った素材を選ぶ——これが、続けられるリスニングの第一歩。
ここでは、入り口になりやすい順に、おすすめのカテゴリを学年の目安つきで紹介していきます。挙げる作品名・チャンネル名・アプリ名は、どれも家庭で取り入れやすい代表例。全部そろえる必要はありません。お子さんが気に入ったものを1つ2つ選んで、無理なく続けるのがいちばんです。
1. 歌・チャンツ(導入期・低学年〜)
英語リスニングの入り口として一番取り組みやすいのが、歌とチャンツ(リズムに乗せた短いフレーズ)。メロディと繰り返しのおかげで、意味が分からなくても口ずさめて、英語の音やリズムが自然と耳に残ります。低学年なら、体を動かしながら歌える曲や、同じフレーズが何度も出てくる童謡から始めるのがおすすめ。「英語を勉強している」という感覚がないまま、いつの間にか口ずさんでいる——それが歌の最大の強みなんです。
しかも歌は、発音やイントネーションがまるごと入ってくる素材。単語だけ覚えるより、フレーズごと音で覚えるほうが、後でそのまま使えるようになります。お風呂やお出かけの車内など、家事や移動のついでに流せるのも続けやすいポイント。
聞かせ方のコツ:歌詞を完璧に理解させようとせず、まずは「英語の音を楽しむ」ことだけを目標に。
学年別のおすすめ曲や、どの曲が英検のどんな力につながるかは、小学生におすすめの英語の歌23選で詳しくまとめています。選曲に迷ったら、まずここから探してみてください。
3年生のお子さんには、外国語活動の入口にあわせた選び方をまとめた英語の歌 小学3年生編が、はじめてのリスニング素材選びの参考になります。
4年生のお子さんには、学校の外国語活動と連動した選び方をまとめた英語の歌 小学4年生編が、リスニング素材選びの参考になります。
とくに5年生のお子さんなら、授業・教科書のテーマと連動した選び方をまとめた英語の歌 小学5年生編が、リスニング素材選びの参考になります。
6年生のお子さんには、中学英語につながる選曲をまとめた英語の歌 小学6年生編が、リスニング素材選びの参考になります。

2. アニメ・映画(初中級・中学年〜)
ストーリーのあるアニメや映画は、場面と一緒に英語が頭に入るので、単語やフレーズが記憶に残りやすい素材です。英語音声+日本語字幕から始めて、慣れてきたら英語字幕に切り替える。すると、音と文字がだんだん結びついていきます。おすすめは、日本語版で内容を知っている作品を英語で見直すこと。ディズニー作品のように、すでにお話を知っている映像なら、意味と音がすっと重なります。「あのセリフ、英語ではこう言うんだ」という発見が増えて、お子さんも飽きずに続けられるでしょう。
具体的にいくつか挙げてみましょう。低・中学年なら、『アナと雪の女王』『トイ・ストーリー』『ファインディング・ニモ』など、日本語で何度も見た定番作品を英語音声で見直すのがおすすめ。お話を知っているぶん、英語が分からなくても安心して楽しめます。もっと短いものがよければ、1話が数分の『ペッパピッグ』のような幼児・低学年向けアニメも、やさしい英語で取り組みやすい一本。少し変化球では、ジブリ作品(『となりのトトロ』など)を英語音声で見るのも、なじみのある世界で英語に触れられて楽しいものです。
ポイントは、1本を通しで見せて終わりにしないこと。お気に入りの短い場面を、何度か繰り返して見るほうが、フレーズはしっかり定着します。
聞かせ方のコツ:すでに内容を知っている作品を選ぶと、意味と音が結びつきやすくなる。
3. YouTube動画(学年別)
無料で、学年に合った素材を自由に選べるのがYouTubeの強み。低学年なら子ども向けの英語ソングチャンネル、中・高学年なら易しい英語の解説動画や、ゆっくりめに話す英語学習チャンネルへ。再生速度を落とせるのも、リスニング練習にはありがたいところです。気に入った動画が見つかれば、それを「お気に入り」に入れて毎日見るだけでも、立派な学習になります。
具体的に、家庭で取り入れやすいおすすめチャンネルを挙げておきましょう。どれも無料で、子ども向けに作られた定番ばかり。
- Super Simple Songs(公式)(低学年〜):やさしい歌とフレーズが中心。英語の音とリズムに親しむ入り口にちょうどいい。
- Peppa Pig – Official Channel(公式)(低・中学年):1話が数分の短編アニメ。日常のやさしい英語が、場面と一緒に耳に入ってきます。
- English Singsing(公式)(中・高学年):会話・ストーリー・単語と内容が幅広く、5〜12歳向け。少しまとまった英語に挑戦したいときに。
どれもレベルに幅があるので、まずは保護者がいくつか中身を見て、お子さんに合いそうなものから渡してあげると安心です。歌中心のチャンネルや学年別の選曲は、上で紹介した英語の歌のまとめでもくわしく取り上げています。
ただ、YouTubeは関連動画につい引き込まれてしまうのが難点。「この動画を1本見たら終わり」と最初に決めておくと、ダラダラ視聴を防げます。保護者がいくつか候補を選んで再生リストにしておく、というひと工夫もおすすめ。
聞かせ方のコツ:1本まるごとより、短い動画を「繰り返し」見るほうが定着します。
学年別のおすすめチャンネルをさらに知りたい方は、13本を厳選して字幕や親の関わりなど使い方のコツまでまとめた小学生の英語YouTubeおすすめ13選もあわせてどうぞ。
4. ポッドキャスト・英語ラジオ(音だけ・送迎中に)
映像がなく音だけのポッドキャストやラジオは、「ながら時間」を学習に変えられる素材です。車での送り迎えや、登校前の支度中など、生活のすき間にぴったり。映像のヒントがないぶん、音そのものに集中する力も育ちます。最初は内容が全部分からなくても大丈夫。同じ番組を毎日聞いていると、決まったフレーズから少しずつ耳が慣れてくるものです。
音だけの素材は、画面を見続けなくていいぶん、目への負担が少ないのも利点。「動画は見すぎが心配」というご家庭ほど、音声習慣との相性は良いはずです。
聞かせ方のコツ:毎日「同じ時間・同じ番組」にすると習慣になり、続けやすくなる。
家庭で続けやすい音声習慣としては、NHKのラジオ講座も定番です。番組の選び方や学年別の取り入れ方は、NHK基礎英語ラジオの活用法でまとめています。送迎中の聞き流しを「身につく形」にしたい方は、こちらも参考にどうぞ。

5. アプリ(ゲーム感覚・無料中心)
「自分から取り組んでほしい」なら、ゲーム性のある英語アプリが向いています。発音判定やクイズ形式で、子どもが飽きずに続けやすいのが魅力。無料で始められるものも多いので、まずはお子さんが気に入るかどうかを試してみるとよいでしょう。「あと1問」とつい続けてしまう仕掛けが、毎日の習慣化を後押ししてくれます。
一方で、アプリは「やった気」になりやすい面もあるのが正直なところ。タップするだけで終わらせず、聞いた音を口に出してみる・出てきた単語を一緒に確認する、といったひと手間を添えると効果が変わります。選ぶときは、年齢に合った難易度かどうかもチェックしておきたいところ。難しすぎるアプリは、かえって苦手意識のもとになってしまいます。
聞かせ方のコツ:アプリ任せにせず、「今日はどんな音が出てきた?」と一言聞いてあげると効果が上がる。
6. 無料教材・リスニング問題(文字と音をセットで)
少し慣れてきたら、スクリプト(英文)つきの無料リスニング教材やリスニング問題に取り組むのもおすすめです。聞いたあとに英文と訳で答え合わせができるので、「音」と「文字・意味」をセットにする練習にうってつけ。英検の形式に近い無料素材を選べば、そのまま英検対策の助走にもなります。お金をかけずに始められて、力もつく——コスパの良い選択肢。
最初から全部聞き取れなくて当たり前。「どこが聞こえて、どこが聞こえなかったか」を英文で確認するだけでも、耳のピントは少しずつ合っていきます。慣れてきたら、英検の過去問形式に近い無料素材を選ぶのもおすすめ。実際の試験の音やテンポに早めに触れておくと、いざ受験というときの安心感がまるで違ってきます。
聞かせ方のコツ:まず音だけで挑戦し、答え合わせで英文を確認してから、もう一度聞く——この反復練習が力になる。
素材選びに迷ったら
たくさん挙げましたが、順番はシンプルです。まず歌で音に親しみ、興味が出てきたらアニメや動画へ。慣れてきたら音だけのポッドキャストや、英文つきの教材へと広げていく。この流れに沿えば、自然と「やさしい音」から「まとまった英語」へとステップアップしていけます。大切なのは、お子さんが「楽しい」と感じる素材を軸にすること。楽しいからこそ続き、続くからこそ耳が育っていくんですから。迷ったときほど、シンプルに「うちの子が笑っているか」を基準にしてみてください。笑顔で聞けている素材は、たいてい正解なんです。
家庭でできる正しい聞き方
素材を選んだら、次は聞き方です。同じ動画を見ても、ぐんぐん伸びる子と、流して終わってしまう子がいます。その差は、ほとんど「聞き方」にある。
リスニングでおすすめしたいのは、「聞く→真似る→理解する」という順序。最初から意味を完璧に分からせようとするのではなく、まず音を聞き、声に出して真似てみて、最後に「こういう意味だったんだ」と腑に落とす。この順番でいくと、英語が苦手な子でも「聞いてみたら分かった」という小さな成功体験を積みやすくなります。順番を逆にして、意味の理解から入ろうとすると、途端に「お勉強」になって続かない。だからこそ、入り口はいつも「音」からなんです。

具体的に、家庭ですぐできる聞き方のコツを3つ紹介しましょう。
1. 聞いたあとに「今、なんて言ってた?」と問いかける
流しっぱなしを防ぐいちばん簡単な方法が、これ。レッスンで子どもたちに何度も投げかけてきたのが、まさにこの問いかけです。短い1場面を聞いたら、「今、なんて言ってた?」「どんな話だった?」と一言たずねてみてください。すると、お子さんは「聞き取ろう」と意識して聞くようになり、受け身のリスニングが能動的なリスニングへと変わります。答えられなくても問題ありません。「じゃあ、もう一回聞いてみよう」と巻き戻せばいいだけ。この一手間が、ただのBGMを「考えながら聞く時間」に変えてくれます。
2. 声に出して真似る(まねっこ)
聞こえた音を、そのまま声に出して真似てみる。これだけで、発音とリズム感が驚くほど育ちます。完璧でなくてかまいません。「同じように言えた!」という感覚そのものが、聞く耳をさらに鋭くしてくれるんです。これは、後の英検対策で出てくる音読やシャドーイング(聞こえた音をすぐ追いかけて声に出す練習)の素地にもなるもの。今のうちから「真似っこ」で口を動かす習慣があると、後がぐっとラクになりますよ。やり方は簡単で、お気に入りのワンフレーズを一緒に言ってみるだけ。お父さん・お母さんが先に口に出して見せてあげると、お子さんも恥ずかしがらずに真似しやすくなります。
3. 「ながら」より「短く集中」
長時間のBGM聞き流しよりも、1日5〜15分でいいので集中して聞くほうが、ずっと効果的。小学生の集中力は、そう長くは続きません。だからこそ「短く・毎日・楽しく」が基本になります。お風呂前の5分でも、寝る前の5分でも十分。続けることそのものが、何よりの勉強法なんです。1日だけ長くやって満足するより、5分を30日続けるほうが、はるかに耳は育ちます。
時間の目安をまとめると、低学年は1日5分、中・高学年でも10〜15分あれば十分です。長くやることよりも、毎日少しずつ続けられる環境をつくってあげること。これが、家庭学習を成功させるいちばんの近道。お子さんが「もっと聞きたい」と思っているうちに、さっと切り上げるくらいでちょうどいいんです。やりすぎて飽きさせてしまうより、「物足りないくらい」で次の日につなぐ。そんな引き算の発想が、長く続けるコツになります。
逆に、やりがちな落とし穴も先にお伝えしておきましょう。ひとつは、背伸びして難しい素材を選んでしまうこと。聞き取れない音ばかりだと、お子さんは早々に飽きてしまいます。もうひとつは、完璧を求めすぎること。「全部聞き取れた?」と詰めてしまうと、楽しいはずのリスニングが苦しい時間に変わってしまう。そして最後が、テレビ代わりの流しっぱなし。ここまで読んでくださった方なら、もうお分かりでしょう。どれも「分かる音を・短く・楽しく」から外れた使い方。気負わず、肩の力を抜いて続けることが、結局はいちばんの近道なんです。
リスニングが英検につながる: 本命は小6で英検3級
ここまでの「正しい聞き方」を続けていくと、その力はそのまま英検のリスニングに生きてきます。最後に、小学生のリスニングが英検にどうつながるのかを、級ごとの形式とあわせて見ていきましょう。
指導の現場では、英検に挑戦するとき、どの級でもまずリスニングから対策を始めるようにしています。理由はシンプル。リスニングは選択肢を選ぶ形式で、イラストのヒントもあり、子どもにとって最初の成功体験を作りやすい技能だからです。「英検は字ばかりで難しそう」と身構える子も、「聞いてみたら分かった」「少しできた」という手応えから入れば、その後の学習意欲はぐっと続きやすくなる。実際、筆記が少し苦手でも、リスニングを得点源にして5級に合格する子は、教室でも珍しくありません。リスニングは、英語が苦手な子の「最初の味方」になってくれるんです。
英検のリスニングは、級が上がっても3部構成が基本。級ごとの目安を見てみましょう。
- 英検5級リスニング:約20分・全部で25問。会話や短い文を聞いて答えを選ぶ形式で、放送は2回(聞き直せる)。第1部はイラストのヒントがあり、いちばん取り組みやすい入り口です。数字・曜日・時刻の聞き取りもよく出るので、歌や動画でそうした言葉に触れておくと、ここでぐっと活きてくる。
- 英検4級リスニング:約30分・30問。形式は5級と似ていますが、問題数が増え、第3部が「イラストを選ぶ」形式から「英文の選択肢を読んで選ぶ」4択に変わるため、イラストのヒントは第1部だけになります。放送はまだ2回あるので、落ち着いて聞き直せるのが救い。
- 英検3級リスニング:約25分・30問。ここで第1部だけは放送が1回になり、第2部・第3部はイラストがなく、話の流れをつかむ力が求められます。一気に難しくなる印象ですが、小学生のうちに「正しい聞き方」で耳を育てておけば、ここで大きく差がつくところ。
こうして見ると、級が上がるほど「ヒントが減り、聞く負荷が増えていく」のが分かります。とはいえ、形式そのものは3部構成のまま、大きくは変わらない。つまり、5級で慣れた土俵の上で、少しずつヒントが外れていくイメージなんです。小学生のうちから「正しい聞き方」で耳を育てておけば、この上がり方は急な階段というより、ゆるやかなスロープに感じられるはず。
なお、英検で対面の面接(二次試験)があるのは3級からです。5級・4級にもスピーキングテストはありますが、こちらは申込者全員が受験でき(別途申し込み不要)、録音式で別に実施され、級の合否(一次試験の結果)には影響しません。「いきなり面接があるの?」と心配する必要はなく、5級・4級は筆記とリスニングで合否が決まる、と覚えておけば大丈夫。まずは机に向かう試験そのものに、リスニングから慣れていけばいい。
そして、ここがいちばん大事なところ。英検5級・4級は、あくまで最初の一歩です。
本命は、小学6年までに英検3級を取ること。小学生のうちに3級を持っていると、中学校の英語の授業にスムーズに入っていけて、最初の壁(過去形や関係代名詞など)をすでに越えた状態でスタートできます。これは中学英語で大きなアドバンテージ。
中学に上がると、英語は一気にスピードを増します。単語も文法も、習うペースは小学校の比ではないんです。そこで「英語は聞けば分かる」という土台があるかどうかが、最初のつまずきを大きく左右する。リスニングで先に耳を作っておいた子は、教科書の音声教材にもすっと入っていけて、授業そのものが復習の場になります。5級で「合格できた!」と終わらせず、4級・3級まで見据えてリスニングを育てていく——この長い目線こそが、家庭学習をぶれずに続けるコツなんです。
えいごの実でも、英検5級・4級のリスニング対策や、リスニングを軸にした学習法のコンテンツを順次公開予定です。準備が整いしだいご案内しますので、楽しみにしていてください。

よくある質問(FAQ)
- 聞き流しだけで英語は身につきますか?
-
聞き流しだけで完璧に身につく、とは言いにくいのが正直なところ。意味の分からない音をただ流すだけでは、記憶にも理解にも残りにくいからです。ただし、意味が分かる素材を、文字や絵とセットにして、短く繰り返す「力になる聞き流し」なら、家庭学習の強い味方になります。大事なのは「量」より「分かる音を選ぶこと」だと考えてください。
- リスニングは1日何分やればいいですか?
-
低学年なら1日5分、中・高学年でも10〜15分で十分です。長時間まとめてやるより、毎日少しずつ続けるほうが効果的。お風呂前や寝る前など、生活の中に組み込むと習慣になりやすくなります。「短く・毎日・楽しく」を合言葉にしてみてください。
- いつから始めるのがいいですか?
-
英語の音に親しむのは、早ければ早いほど有利です。耳が柔らかい低学年のうちに、歌や動画で音に慣れておくと、その後の学習がぐっとラクになるんです。とはいえ「もう高学年だから遅い」ということはありません。始めたいと思った今が、ちょうどいいタイミングだと思ってください。
- お金をかけずに(無料で)できますか?
-
できます。YouTube、無料のポッドキャスト、無料アプリ、スクリプトつきの無料リスニング教材など、お金をかけずに始められる素材は、今はたくさんあるんです。まずは無料の素材でお子さんに合うものを探し、続きそうなら有料の教材を検討する——この順番がおすすめです。
- 小学生のリスニングは英検につながりますか?
-
しっかりつながります。英検5級・4級・3級のリスニングは、いずれも大きな得点の柱。家庭で育てた「正しい聞き方」は、そのまま英検のリスニングに生きてきます。リスニングは英検で最初に得意になりやすい技能なので、5級・4級の合格、そして本命の「小6で3級」へと、無理なくステップアップしていけます。
まとめ
小学生の英語リスニングで大切なポイントを、最後にもう一度。
- 「聞き流す」より「正しく聞く」——意味が分かる素材を、文字や絵とセットにして、短く繰り返すのが力になるリスニング。ただのBGMにするだけでは身につきにくい。
- 素材は学年で選ぶ——歌→アニメ・映画→YouTube→ポッドキャスト→アプリ→無料教材と、お子さんの学年と興味に合った入り口を選ぶ。無料素材から気軽に始めてOK。
- 聞き方は「聞く→真似る→理解する」——「今なんて言ってた?」の問いかけと、声に出すまねっこで、受け身のリスニングを能動的に。1日5〜15分(低学年は5分から)の集中を毎日続ける。
- 英検への一歩につなげる——育てた聞く力は英検5級・4級リスニングの素地に。5級・4級は最初の一歩で、本命は小学6年までの英検3級。
今日からできるのは、たった5分の聞き取りから。特別な教材やまとまったお金は要りません。家にある環境と、ほんの少しの声かけさえあれば、今日からでも始められるもの。お子さんが「聞いてみたら分かった」と笑う瞬間を、ぜひ家庭でつくってあげてください。

